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帝王切開の保険診療対象範囲は?出産費用内訳を細かく解説します!

分かりにくい帝王切開の費用

去年出産をしましたが、最後まで逆子が直らず、帝王切開での出産になりました。

34週、35週、、、と臨月になるにつれ帝王切開の可能性は高まり、普通分娩と何が違うの?費用の違いは?と気になりネットで沢山検索をしました。

 

しかし「結局いくらかかった」という話は多いのですが(ざっくりしたもの)、帝王切開の費用の内訳がどうなって結局自己負担はいくらなのか、その最終的な支払い金額が普通分娩と比べてどうなのかをしっかり書いてくれているサイトはありませんでした。

 

ということで、人生の備忘録としてかかったお金の内訳や帝王切開保険診療、還元額などについて詳しくここに記しておきます。

 

まず結論:帝王切開出産の総請求額と最終支出

まずは全体像から整理します。

 

「自己負担」「費用」「手当」「還元」などの用語や「これだけかかったけどこれだけ戻ってきた」など、出産にまつわる「かかったお金」の話は定義が人によってバラバラで、それが頭のこんがらがる理由の一つかと思います。

 

もちろん病院によって出産費用の設定額や請求の仕方が違うので人それぞれなのですが、「病院から出産した人に対して請求される額」がスタート地点で、「最終的に家計からマイナスとして出ていった支出」がゴール地点なのは共通です。

 

実際に私が帝王切開出産後に病院から請求された額と、最終的な支出に至るまでの内訳をここに図で整理しました。

帝王切開出産の費用内訳

帝王切開出産の費用内訳

緑が支出赤が国や自治体、健康保険から支給された手当類です。ちなみに、なんと去年の妊娠前に不要だと思って医療保険を解約していたため、大体の人が支給されている任意の保険金はもらえませんでした(めちゃめちゃショックでした-△-;)

病院からの請求書に記載された請求額の合計は「946,150円」。

最終的な支出は「374,683円」。

その差額の「571,467円」が支給された(キャッシュバックされた)ということになります。

 

※ちなみにこの総請求額は、出産後退院時に「分娩費用」として請求された請求書記載の金額です。実際には、妊婦健診時に普通分娩時にはない検査(麻酔耐久性など)があり、それらは保険適用される診療になり自己負担三割で請求されます。

 

※また厳密には、次の年の確定申告で医療費控除がされるので税金が戻ってきますが、妊婦健診等も含めた全体に対する還元額なのでここでは割愛します。(ちなみに医療費控除で安くなった所得税は4.5万円ほど、住民税は令和元年分が4.5万円ほど安くなる計算です。妊婦健診で10万以上払っているのでそれに充てられたようなものですね。)

 

帝王切開と普通分娩の請求内容の違い

普通分娩から帝王切開に切り替わることで、普通分娩時にはない診療項目が増え、その分病院からの請求額は増えることになります。

 

その請求額、及び元々の出産費用は病院によってかなり異なりますが、一般的には「普通分娩費用」に「帝王切開オプション」といった形で金額が追加されることになります。あるいは、帝王切開の料金が別に設定されているケースもあります。

 

ちょっと紛らわしいのが、一般的に分娩費用は「パック料金」のようになっており、「帝王切開オプション」として記載されているXX円はすでに国から出る70%を引いた自己負担30%を書いていることが多いです。

 

実際に私のケースでいうと、(産院が結構な高額のところだったので一般の2倍くらいの金額になっていますが)

 

【普通分娩費用】

普通分娩費用 お産パック 742,000円(普通はここが40万円程度)

産科医療補償制度 16,000円(誰でもかかる重度脳性麻痺の補償金)

 

帝王切開加算】

150,000円

 

というのがメニューに書かれた出産費用でした。この帝王切開のときの加算金15万円は、本来の保険点数は50万点ほど、つまり50万円程度が診療費用(医療行為としての食事代含む)で、自己負担30%が15万円となっています。

 

 私の場合、この758000+150000=908000円という「妊婦合計負担額」に「ベビーの診療費」と「マッサージ代(アロママッサージサロン併設だったので)」が加算されて946150円という請求額になったのでした。

 

結局帝王切開と普通分娩ではどのくらい費用差がある?どっちが安い?

病院からの総請求額としては帝王切開の方が高くなることが多いです。が、安くなることもあります。

 

帝王切開手術をするとほぼ確実に適用されるのが「高額療養費制度」です。(月をまたぐと利用できないこともあります)そして、世帯が会社勤めの場合は健康保険組合「高額療養費の付加給付」がされることもあります。

 

私の場合、約15万円の「保険適用診療自己負担額(=病院からの請求額の一部)」がこの制度の対象になり、高額療養費制度の年収別自己負担額の計算式に基づく「82,103円」を超える「58,067円」と、さらに付加給付の自己負担額「25,000円」を超える「57,000円」(1000円未満切り下げ)が支給されました。(細かい解説は後述)

 

これが先程の「帝王切開の費用内訳」図のAにあたります。

 

さて、15万円が25000円ほどになりましたが、やはり普通分娩費用にプラスαは変わらないので、普通分娩に比べて25000円高いままです。

実際には、

【手術費用】帝王切開の麻酔、手術分+/保険が効いて−

【入院費用】帝王切開により3日ほど伸びて+/保険が効いて−

【食事代】入院が増えて、更に療養食が増えて+

 となりますので、結局相殺となり、高額療養費制度が適用されたとしても数万は高くなります。

 

よく「帝王切開の方が安くなる」というのは、任意の医療保険に入っていてその保険金が降りる場合が多いです。もし10万円おりたのであれば、一気に帝王切開の方が安くなります。

 

また、病院側で「帝王切開時の分娩介助料を安く設定している」場合には、保険外診療が普通分娩に比べて少なくなりますので帝王切開の方が安くなりますね。

 

実は、妊娠中でも、○週までなら入れます、という保険がいくつかあるので、帝王切開であることが濃厚な人が検討するなら早めに入ったほうがいいと思います。一度帝王切開をして2人目のために入ろうとしても、条件で入れないケースも多いので、気をつけてくださいね。

 

帝王切開で黒字になるパターン

最初の「帝王切開出産の費用内訳」図で、最終支出は37万円を超えることになりました。

 

よく「帝王切開で黒字になった」ということが言われますが、どこがどうなったらそうなるのか疑問に思うかもしれませんが答えは簡単です。

 

保険外診療(=「分娩介助料」)」の実額741,710円(メニューではお産パック742,000円)は病院が勝手に決めている金額なので、ここが50万円としましょう。

 

すると、病院からの請求額は帝王切開保険診療15万円+保険外診療50万円+補償制度1.6万円+α=67万円程度」となり、一方支給額は保険診療払い戻し11.5万円+出産育児一時金42万円=54万円程度」となります。

最近はベビーの診療代は全額戻ってくるのでかかりません。

 

かかった金額67万円ー54万円=13万円 となるので、手術一時金と入院日額が任意の医療保険から出て15万円くらいになれば、見事黒字達成となります。

 

保険診療と還元額

まさに帝王切開のときに加算される費用です。

 

私の場合は約15万円でしたが、半額の8万円ほどが一般的だと思います。予定と緊急で料金が違う場合もありますし、実費請求とだけ記載してある病院もあります。その人によって、麻酔の仕方や術後の安定度合いは異なると思いますのでその分加算されれば請求します、という意味だと思います。

 

私の保険適用診療は140,170円(元は467,230円)で、加えて保険適用の食事代が10,120円(元は33,734円)でした。

 具体的な診療項目

帝王切開の時に保険診療となる(点数が付く)項目にはどんなものがあるのか、抜粋ですがいくつかご紹介しますと、

「入院料」

"帝王切開"という手術行為のための入院をしますので、入院料が保険診療となりました。

「医学管理」

血栓塞栓症予防管理料や、薬剤管理指導料など

「検査」

血液化学検査や尿検査など

「注射」

術前術後に様々な投薬が点滴を通して行われます。おかげで両手首は注射の後でずったずたになりました。。^^;

「投薬」

酸化マグネシウムが貧血予防に出されたり、痛み止めが出されたり、錠剤もいくつか出ます。帝王切開をしたために必要になった薬として保険対象になります。

「手術」

帝王切開手術の術そのものと、合わせて使われる癒着防止材や薬剤です。本当に怖くて震えました・・・

「処置」

"創傷処置"。お腹を開きますのでそれを閉じた後傷の手当をしました。

「麻酔」

手術中の麻酔ではなく術後に痛みを抑えるために背中に管を通して注入される麻酔も保険診療です。

「食事療養」

帝王切開後の食事は、普通分娩時と違い術後療養のための食事となります。

 

保険適用の食事代というのは、帝王切開をした直後経口補水液のようなものや流動食を取ることになります。普通の食事になった後の5日間ほどの食事代も保険診療項目に入っていました。 

保険診療に対する還元

一つの病気等に対する保険診療がひと月に一定額以上になると、高額療養費制度が適用されます。

 

収入が少ないとその額(自己負担額)は低く還元額は多く、収入が多いと自己負担額は高く還元額は少なくなるという制度になっています。

 

注意点として食事代や個室ベッド代、交通費などが対象になりません。

 

保険診療に対する高額療養費制度+組合の付加給付計算の仕方

帝王切開の保険診療部分の費用

帝王切開保険診療部分の費用

高額療養費制度の解説は色々なところでされているので省略します。

 

まず対象となるのは食事代を除く保険診療です。

私の場合請求書に書かれている46723点、1点=10円なので、467,230円が総医療費、被保険者への請求額は30%の140,170円です。

 

国の高額療養費制度における自己負担額は収入によって異なります。私の場合の計算式は、

80,100円+(総医療費−267,000円)×1%

でした。

 

80,100円+(467,230円−267,000円)×1%=82,103円が自己負担額です。

 

私が払った金額は140,170円なので(実際に窓口に払った金額はあまり関係なく、保険部分をみなし計算した金額です)、

140,170円−82,103円=58,067円が高額療養費制度の還付金額になりました。

 

更に、会社の健康保険組合の付加給付制度は「自己負担25,000円を超えた分(1000円未満切り捨て)を支給」だったので、

82,103円−25,000円=57,103円→1000円未満切り捨てで57,000円が付加給付となりました。

 

高額療養費還付+付加給付 =58,067円+57,000円=115,067円

 

これが図のA、保険診療に対する還元額になっています。

 

つまるところ、黒字になった人うらやま〜って話。

ここまで解説しましたが、書いていて負担額37万にもなったことが改めてショックというか、やっぱ高すぎるよねという感想。

 

もちろん保険に入っていればとかそういう後悔もありますが、病院選びは重要だと感じました。

いや、すごくいい病院だったんだけれども。帝王切開の手術のノウハウも技術も高かったんだろうけども。

確かに退院時フルコースディナーは美味しかったし、個室は結構広くて良かったけどもさ。

 

あと20万は安くしてほしかったな〜。